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2005年08月15日

SPARK!!其の九

頭の先から爪先まで、黒いスーツで身をかためた、どう見ても怪しいオッサンの視線は、フラフラと遠くの世界を彷徨っている。
酷く酔っているらしく、おぼつかない足取りで一歩を踏み出す。
こんなオッサンがドアを突き破ったのか?
息を吹きかけただけで倒れんじゃねえか?
それにしても、怪我でもしているのか、歩く度に左肩が、ガクンガクンと、おかしな動きをしている。
よく見ると、左の裾から、緑色の液体がポトリ、ポトリと、床へ滴っていた。
その様子を壁にめり込みながら冷静に観察する俺。
って言うか、身体が痺れて、まだ動かねぇぇぇぇぇ!
不意に乾いた破裂音と共にオッサンの身体がのけ反った。
そのまま仰向けに倒れる。

ゴン

後頭部からモロに倒れたオッサンは、そのまま動かなくなった。
火薬の臭いが部屋に溢れた。
部屋の主の女は、まだ硝煙の立ち昇る銃口をオッサンに向けたまま、さっき俺が入って来た窓へと向かっている。
「ウッタ?うった!?撃った!!?」
状況が飲み込めずに、取り乱し喚き散らすお馬鹿満開な俺に向き直り、女はツカツカと歩み寄ると、
「静かにして頂けますか♪」
と、俺の頭に銃口を突きつけた 。

ジュゥー

「熱っちちちちち……」
「銃だけにジュウ♪テヘ」
「笑えねぇよぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
「永久に笑えなくした方が良いですか?」
笑顔で問い掛けて来る彼女の瞳の奥で、オブラートで包み隠した殺人オーラが見え隠れ!
これが俗に言う、―人を殺した人間の眼―と言うヤツですか?
って、言うか現に目の前で人が……

ギシギシ

どこかで鉄の擦れる様な耳障りな音が聞こえる。
女の肩越しにゆらりと黒い影が現れた。

?!
posted by Takeshi at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月22日

SPARK!!其の八

たまの休みくらいゆっくりさせてくれぇぇぇぇ!
心の中で叫びながら、必死に部屋の大掃除…。
「早くせんか。そこがまだ汚れておるじゃろ?」
爺ちゃんが重箱の隅をつつく様なやらしい指摘を繰り返す。
「自分がすりゃ良いじゃねぇか…。」
「何じゃ?何か言うたか?」
「何でもないです。」
妹姿の爺ちゃんは、俺が楽しみに取ってあったGOGO1!のアイスキャンディを美味しそうに頬張りながら、扇風機の前を独占している。
言い知れぬ怒りがふつふつと込み上げて来るが、爺ちゃんには逆らえない。
爺ちゃんは今年で確か72歳だったか?
別に年寄りをいたわろうとか、そんな環境に優しい考え方を持ったエコロジックな人間な訳では無い。
逆らうと命に関わる…。
ほんの少しだけ、やんちゃだったかもしれないが、年端もいかない、いたいけな少年だった俺を獣だらけの山のど真ん中に放置する様な爺ちゃんだ。
今の俺がどんな仕打ちを受けるか…。
それに、中身は悪魔の化身の様な爺ちゃんでも、身体の方は天使の様に可憐な妹のもの。
正に美少女と野獣。


………!?


ちょっと待て……

チヨリの身体に爺ちゃんが入ってるって事は…

ふと雑巾を持つ手を止め、爺ちゃんに目をやる。

◎▲×◇!?

「何してんだ!ジジイ!?」
そこには、ブラウスのボタンを全開にして胸の谷間を露わにし、扇風機の風を受けるチヨリの姿が!!?
「ジジイとは何じゃ!」

しまった!!

と、思った時には俺の身体は開け放った窓を擦り抜け宙を舞っていた。
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ………。」
向かいのアパートの窓を突き破り床の上でバウンド!


ズーーーン!!


壁に叩き付けられ、振動がアパート全体を揺さぶった。

「ナニ?なに??何!?」
ベッドから飛び起きる部屋の主。
ウサギ柄のパジャマ姿で寝癖全開の彼女は、キョロキョロと辺りを見回し………。

―パタン。

(寝るのかよ!)

ハッ!!
と、起き上がった彼女は真っ直ぐに壁にめり込んだ俺を見据え…
「あのぅ…ここで何をしてるんですかぁ?」
枕をギュッと抱きしめながら彼女は不安そうに尋ねた。

かなり気まずい空気が流れる。

「話せば長くなりますが…訳あって、壁にめり込んでます。」
俺は極めて穏やかな口調で紳士的に話しかけた。
彼女はにっこりと微笑みながらケータイを鬼の様に素早くプッシュ。
「あのぅ、どちらにおかけですか?」
という俺のささやかな疑問に、当然の様に、
「市民の安全を守る正義の味方のところですぅ♪」
と陽気に返して来る。
「早い話が警察ですか?」
「はい♪」
満面の笑顔がキラリと眩しい☆

「………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………
ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

しかし、気持ちとは裏腹に、動けない俺。
数年振りに食らった爺ちゃんの突きは衰えるどころか切れが増していた。
都会の生活で鈍っていた身体は耐え切れず、全く力が入らない…。
「あ!もしもし…」

ドンドンドン

誰かがドアをノックする。
いつから警察はこんなに迅速に動く様になったんだ?

ドンドンドンドン…。

「出なくて良いの?」
何だか女の様子がおかしい。
「しっ!黙って!!」
唇に指を当て短くそう囁くと、ベッドの下からトランクを引っ張り出した。

ドゴォン、ドゴォン!

しつこく続くノックの音は、もう尋常なレベルじゃ無くなっている。

ドゴォーン!ドゴォーン!

音が響く度、木製の扉が枠から引き剥がされて行く。
蝶番のビスが弾け跳び、隙間が開いた。
向こうで何かが揺らめいて見える。
ミシミシと軋みながら隙間が大きさを増す。

!?

一際大きな音と共に崩れ落ちた扉の先には黒服の男が立っていた…。
posted by Takeshi at 03:32| Comment(2) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月13日

SPARK!!其の七

俺は、猛烈に複雑な心境で『妹の姿』を見上げていた。
兄の俺が言うと、少し危なく聞こえるかも知れないが、誰が見ても可愛らしい部類に入ると思う。

しかし…

その『妹』に踏み付けられてます。
「いつからそんな薄情者になったんじゃ。」
爺ちゃんの声で妹が叫ぶ。
「爺ちゃんタンマーーー!!」
間髪入れずに『妹の拳』が振り下ろされる。
「ぐふぅぅぅぅぅっ!」
何ごとも無かった様に俺を踏み越え、窓辺に移動し遠くを見つめると、
「昔は、あんなに良い子じゃったのに…瞼を閉じるとあの頃の楽しい思い出が昨日の事の様に蘇るではないか…。」
と、感慨深そうにつぶやいた。
俺の脳裏に昔、爺ちゃんに修行にかこつけて、山に置き去りにされ狼の群れに追い回されたり、海の真ん中で食料が無くなったからと、船から突き落とされ、餌代わりにされた苦々しい日々が、走馬灯の様に駆け巡る。
「楽しかったの爺ちゃんだけだろぉぉぉ!」
何で朝から『妹』に足蹴にされながら過去のトラウマを引っ張り出されなきゃならんのだ。
俺は今、猛烈に複雑な心境で『妹の姿』を見上げている。
爺ちゃんと中身が入れ替わった妹の姿を…。
「とにかく、この散らかった部屋を何とかせねばなぁ…」
腕組みをしながら妹(爺ちゃん)が部屋を見渡す。
「このままで良いよ」
「ワシに、こんな部屋に住めと言うのか?」
「住む気かよ!?」
こうして、俺の平和はたった3年で脆くも崩れ去った。
posted by Takeshi at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月05日

SPARK!!其の六

玄関先には少女が一人。
どこか幼さの残る愛くるしい微笑みをたたえながら、朝の光に包まれていた。
長い髪は亜麻色に透け、そよ風に揺られている。
小首を傾げる様にして微笑む癖に懐かしさを覚えた。
少女は左手のケータイを鞄にしまって部屋の様子を伺う。
俺は、何故か違和感を抱いた。
少女が部屋の中を指差す。
振り返ると…

火!?

電子レンジから火が!!
俺は流し台の横に駆け寄り、消火器を掴むと、レンジに向き直り、思いきり取手を握り締めた。

プシューっと………………………
………………………………………
………………………………出ねぇ!?

消火器と必死に戯れる、お間抜けな俺。
「退がっておれ!!」
聞き覚えのある良く通る大きな声に顔を上げると、いつの間にか、少女が目の前で背を向け構えていた。

ボッ

少女が放った突きに大気が唸る!

…ふっ。

火がスーッとかき消された。
「…チヨリ?」
少女は、俺の声に振り返ると、天使の様な笑顔を浮かべた。
3年振りの再会に照れ臭くて視線を外した俺に、そっと歩み寄る少女。
「元気してたか?」
窓の方に顔を向け、言葉をかける俺の頬に、少女の細く長い指が優しく触れた。
そのまま、俺の視線をゆっくりと自分へ向けながら、顔を寄せて来る。
吐息が俺の頬を撫でる。
「チヨリ?」
少女の視線が俺の口許に絡み付く。
思わず、目にした少女の艶やかな唇からチロリと舌がのぞいた。
全身の血液が逆流する。
動悸が激しく頭がクラクラして来る。
少女の右手が俺の唇の方へ…

プチッ!

「痛ぇぇぇぇ!」
「鼻毛が出とるぞぃ!」

!?

可憐な少女からガサツな老人の声が!!
その声は紛れも無く爺ちゃんだ。
その人差し指と親指の間からはピョコンと鼻毛が3本。
「何を赤くなっておるんじゃ…熱でもあるのか?」
「爺…ちゃん?」
俺の停止した思考回路に鞭を打つ様に老人の声は続く。
「そうじゃ!ワシじゃ!!さっき言ったじゃろ?チヨリの身体に入ってしもぅたんじゃ…。」
俺は想像を遥かに超えた現実と、爺ちゃんにある意味ときめいてしまった事実に叩きのめされながら、心の中で
「俺は、決して変態じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」と、泣き叫んでいた。
posted by Takeshi at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月28日

SPARK!!其の五

俺はケータイの通話ボタンを押し、耳と肩で挟むと、こぼれたスープを雑巾で吸い取りながら受話器の向こうに声をかけた。
「元気か?チヨリ」
−13年前、両親が忽然と姿を消した。
まだ幼かった俺とチヨリを残して。
俺たち兄妹はそのまま親父方の爺ちゃんに引き取られた。
この爺ちゃんが、一癖も二癖もあるエセ祈祷師で…やれ悪霊払いだ、妖怪退治だと言っては、村人から高い御布施を巻き上げていた。
その癖、俺は小遣いはほとんど貰えず。
お前が人の生き血を啜る悪霊だ!などと、幼心に突っ込みを入れたものだ。
俺は、そんな暮らしにウンザリしていた。
しかし、チヨリはそんな爺ちゃんが大好きだった。
3年前、俺が家を飛び出した時も
「お爺ちゃんが独りぼっちになるから」
と、チヨリは実家に残った。
「爺ちゃんは殺しても死ぬ様な奴じゃないから大丈夫だ」
と、真顔で俺が言うのを見ると、クスクス笑って、首を横に振った。
こっちに来てケータイを買うと、最初にチヨリに番号を教えた。
爺ちゃんには内緒だ。
さすがに、家出して連絡するのも変だし、確実に連れ戻される。
だからチヨリにだけ定期的に連絡を取っていた。−
「お前に心配される程、落ちぶれては居らんわ!」
そうそう、爺ちゃんは、いつでもこんな良く通る大きな声で話して…
「爺ちゃん!?」
思わず雑巾を床に落とす。
「何じゃそんなに嬉しいのか?都会の暮らしはどうじゃ?」
「何で爺ちゃんが?チヨリは?」
「チヨリか?…チヨリはのぅ…」
「どうかしたのか?」
受話器の向こうの気配を探る。
「実はのぅ、少し厄介な事になってしもぅてのぅ…」
「チヨリに何かあったのか?」
「………」
重苦しい沈黙が続く。
「爺ちゃん!!」
「チヨリにと言うか…ワシとチヨリの問題じゃ…」
「何だよ!?」
「…良いか、落ち着いてくのじゃぞ。決して心乱さぬ様にな。」
不安が心臓を鷲掴みにする。
「…何があったんだ?」
「…チヨリの身体に入ってしもぅた。」
「はぁ?」
「じゃから、チヨリの肉体と一つになってしもぅたんじゃ。」
俺の脳裏に、チヨリと爺ちゃんの楽しげな、夕暮れ時の魅惑の団欒シーンが、鮮やかに浮かび上がる。


「お爺ちゃん、あ〜んして♪」
「あ〜ん♪」
「美味しい?」
「美味しいぞ」

※あくまでも想像です。

「お爺ちゃんホッペにご飯粒付いてる。」
「何処じゃ?」
取ろうとするがなかなか取れない。
「ここだよ♪」
チヨリはそっとご飯粒を取ると、そのまま口許にそれを運んだ。
ぷるんと艶やかな唇。

※しつこい様ですが、あくまでも妄想です。

18才のきめ細かな肌が眩しく見えた。
爺ちゃんの目が怪しい光を帯びる。
「チヨリ!」
獲物をさらう獣の様な動きでチヨリに手を伸ばす。
「お爺ちゃんダメだよ!」
「良いでは無いかぁ♪」


「って、実の孫娘に何やってんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?このエロジジイ!!」
「何か物凄い誤解をしておらんか?」
「チヨリの艶やかな唇にあんな事や、こんな事!出来たら良いながてんこ盛りかぁぁぁぁぁ!?」

ボンッ!!

俺に呼応する様に、電子レンジが止どめの小爆発!

ツーツー…

俺はケータイを握り締めたまま、呆然とするしか無かった。
床の上では、干からびていた雑巾が、スープを吸って、ゆっくりと情けなくほぐれて行くところだった。

ビィィィィィィィ…

けたたましくチャイムが鳴る。

ふらふらと玄関に向かいドアを開けると…

−!?

「お前…」
posted by Takeshi at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月21日

チヨリ其のニ

二階の窓からふわりと降り立つと、老人は庭の端に建つ燈籠に向かって駆け出した。
老人に抱えられたまま、チヨリは 首だけを二階の自分の部屋に向ける。
窓枠がミシミシと悲鳴をあげている。
ガラスが割れ、部屋の内側へ消えて行く。
老人は燈籠に辿り着くと、チヨリをそっと地面に降ろした。

!?

轟音と共に窓枠が壁ごと内側に弾け飛んで行く。

「どうするの!?」
心配そうにチヨリが振り返る。
「まぁ、見ておれ!」
老人は燈籠に手を差し込んだ。

カチリ

燈籠が淡く青白い光を灯す。

ガコン…ガコンッガガガガ

地面から音と振動が伝わって来る。
「お爺ちゃん!?」
燈籠がゆっくりと横にずれて行く。
ぽっかりと地面に暗闇が口を開いた。
「行くぞ!」
言いながら老人はチヨリの手を引いた。
「何処に?」
「地下の洞穴じゃ」
言いながら、老人はチヨリと一緒に、暗い穴に飲み込まれる様に姿を消した…。
posted by Takeshi at 11:01| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月14日

チヨリ

お気に入りの熊のヌイグルミも、写真楯の家族写真も、マンガも…目の前で次々と吹き飛んで行く。
犯した罪の重さの分だけ、大事なものを奪われるかの様に。
その小さな風の塊は真直ぐに迫って来る。
彼女は徐々に後ずさるしか出来ない。
机の上で開かれたままのノートがバサバサと乱暴にめくれ上がる。
彼女の背中が壁にぶつかった瞬間、ノートが入り口の向こうへ吹き飛んで行く。
風は一定の速度で確実に距離を縮めて来ている。
もう逃げ場が無い。
「チヨリー!!」
何者かが彼女の名を叫んだ。
入り口の枠に深く皺の刻まれた手が掛かる。
風に吹き飛ばされそうになりながら、声の主は必死に身体を部屋にねじ込む。
「お爺ちゃん!」
「大丈夫か!?チヨリ!!」
老人は首から水色の珠を下げている。
「今、行くからなぁ!待っとれ!」
そう言うと、壁を蹴り机に手を伸ばす。
気を抜けば、そのまま入り口の外へ身体が吹き飛ばされそうだ。
何とか机の脚に指が掛かった。
風はチヨリに、今にも触れそうな距離に来ている。
「チヨリ!窓の方に行くんじゃ!」
チヨリは頷くと、壁を伝って、ベッドの方へ移動した。
後ろ手にベッドの枕元の棚が触れる。
見るとケータイが充電器にささっている。
老人は机からベッドに向かって跳ねた。
凄まじい力に身体が入り口の方へ流される。
「お爺ちゃん!」
指がベッドを掠め空を切った!
「ぬおぉぉぉぉぉ!」

!?

老人の手が何かを掴んだ。
ピンクのタオルケットだ。
ギリギリのタイミングでチヨリが放ったのだ。
その端をチヨリが支える。
風の力に身体ごと持って行かれそうになりながら必死に踏張る。
左手で窓の枠を掴んだ。
「お爺ちゃん早く登って!」
タオルケットが裂け始める。
老人はベッドの端を掴んだ。
タオルケットが後方に遠ざかる。
老人は姿勢を低くして一気にチヨリへ駆け寄った。
「跳ぶぞ!」
老人は、そう言うと、窓を一気に引き開けた。
「ちょっと、待って!」
チヨリがケータイを充電器毎、引っ込抜くのと、老人がチヨリを抱えて窓を飛び越えるのが同時だった。
posted by Takeshi at 08:55| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月06日

SPARK!!其の四

遠くで何かが鳴り響いている。

−0815−

次第に音が近づいてくる。
…ジリリリリリリリ
−0820−
リリリリリリリ
−08:25−
ナンバープレートって数字変わるんだ…。
−08:32−
−08:3−−
−08:33−
−08:3−−
−08:34−
−08:3−−

!?

俺は6度目のアラームを聞く寸前に目覚まし時計のスイッチをOFFにした。
シーツを跳ね退け、部屋中を見渡す。
4畳半の部屋には西側の壁にシングルベッド、東側の壁の北側と南側角にそれぞれ小さなタンスとテレビ、部屋の中央には背の低いガラステーブルが犇めき合っている。
いつもと変わらない散らかった部屋。
ベッドを抜け出し、タンスに向かう。
右の足の小指をテーブルの足でぶつけた。
「痛ぅ!」
昨日、食べたままのカップ麺の容器が倒れ、スープが雑誌にこぼれる。
慌てて床に転がるティッシュ代わりのトイレットペーパーを素早く巻き取り、テーブルと雑誌にかぶせ、台所へ向かう。
干からびた雑巾を流し台の端から掴んだ時

パリパリ…バチンッバチバチ!

見ると、冷蔵庫の上で、電子レンジが青白い火花を散らしていた。

ボン!!

隙間から煙が漏れ出す。
「…またかよ!?」

俺は溜め息混じりに呟いた。
最近、なぜか朝起きると電化製品がショートしている事がある。
…頻繁に。
家電メーカーの陰謀か?
電化製品は10年で壊れる様に作られていると、誰かに聞いたことがある。
が、こないだの炊飯器なんて、買ってから1〜2年くらいしか経っていない。
しかも使ったのは最初の2ヵ月のみ!
俺はコンセントを抜いて、安全を確認すると電子レンジの扉を開けた。

ボフン!

狙ったように俺の顔に煙が吹きつける!
モワモワと黒い煙が充満する。
「うぉ!?…ゴホゴホゴホ」
堪らず窓に走り寄り、勢い良く開け放つ。
雲一つない青空に黒い煙が上っていく。
太陽がサンサンと輝いている。
外を眺めているとケータイの着信音が流れた。
部屋の隅でコンセントに差してあるケータイ。
−サブディスプレイには『チヨリ』の文字が光っている−
posted by Takeshi at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月03日

SPARK!!其の三

「退いてくれ!」
俺は必死に野次馬を掻き分け、その場を離れようとした。
額と鼻から血を垂らしながら必死の形相で走る俺。
皆、一様に顔色を変えて逃げて行く。
命が懸かっている。
それだけ鬼気迫っているのかもしれない。
…違った!
俺の影がスッポリと何かの影に飲み込まれる。
不意に空を見上げる。
その間にも皆、全力で逃げていく。
頭上には白いワゴン!?

ゆっくりと回転しながら見る間に顔前に迫って来る。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
全身の毛が逆立ち肌表面に電気が走る。
両手を突き出し必死に逃れようとするがワゴンは一定の速度で迫ってくる。
腰から下に思う様に力が入らずこの場から動く事が出来ない。
ボディの前面のへこみの中心が拳の形に見えた。
息が上手く出来ず耳の奥に直接心臓の音が聞こえる。
腕をすり抜けるワゴン。
手が空を掴む。
直撃の瞬間ナンバープレートが目に飛び込んだ。
−0810−
一瞬閃光が走った。
そのまま何も見えなくなった。
posted by Takeshi at 09:40| Comment(2) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月28日

SPARK!!其の二

俺は覚悟を決めた。
このまま勘違いされたまま見ず知らずの女に痴漢扱いされて殺されてたまるか!
女を正面から見据え一歩踏み出す。
女の殺気に全身の毛が逆立つ。
「はぁぁぁぁぁぁ」 女の右手が輝きを増していく。
一つ間違えれば輝かしい未来はない!
間違えなくても無いかも知れんが…。
夢を見るぐらい良いじゃないか!
そうだろう?
生きてりゃ良い事あるさ☆きっと!!
…などと現実逃避に0.3秒。
女が遂に息を吐き切る。

来る!!!

失敗は許されない。
これが“漢”の生き様だ!
俺はコネズミの様な素早さで地球に向かって頭突き!!
「すいませんでしたぁぁぁぁ。お許しくださいぃぃぃぃぃぃ!」
額を穴があくほど地面に擦りつける。
予期せぬ行動に、女の動きが一瞬止まる。

今だ!!!!!!

俺は後方に跳び退き、踵を返すと全力で駐車場の入り口を駆け抜け、そのまま表通りまで飛び出した。
「危ない!!」
誰かが叫んだ。
クラクションの音が耳をつんざく。
キキキキーと、耳障りな音が響いてくる。

ドン!

背後で嫌な音がした。道を渡り切った所で振り返る。
白いワンボックスがフロント部分をへこませて停まっている。
「ひかれたぞ!」
誰かが叫んだ。
よく見るとワゴンの下から女性らしい下半身がのぞいている。
背筋に冷たいものが走る。
辺りにザワザワと野次馬が群れ出したその時…。
「っ痛ぁぁぁい」
気が抜けそうな程、能天気な声が響いた。
周囲の視線が一斉にワゴンの方に集まる。

!?

パタパタパタパタパタパタ…寝転んで駄々をこねるワガママ小娘の様に脚がジタバタ動き回る。
「ちょっとどきなさいよ!!」
と、また声が響く。
スラッとのびた脚の付け根にチラッと見えたものは…水色のパンツ!?
posted by Takeshi at 23:29| Comment(2) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月22日

SPARK!!

バチッ!
「ぐぅおっ!?」
火花が見えた。
右手を引っ込め抱えながらのた打ち回る。
冬の車は危険だ。
車だけじゃない、ドアノブも、毛糸も、人の肌も、髪の毛も。俺に取ったら日常は地雷地帯だ。
特に今日みたいに空気が乾燥した日は、何かに触れるたびに指先との間に青白い閃光が走る。
いわゆる『帯電体質』なのだ…。
しか〜し!この呪われた体質とも今日でオサラバ!!
そう思うと嬉しくてたまらん。
一人で駐車場でニヤニヤしている俺は、誰がどう見ても、真夏にコートが似合う要注意人物に見えただろう。
さあ、急いで帰って例のモノを…。
「ちょっと、あんた!」
振り向くと同時に俺の身体は見事な放物線を描いて宙を舞っていた。
無様に背中からアスファルトに叩きつけられ身体に電気が走る。
「私のパンツ見たでしょ!」
見上げるとそこにはゆらゆらと揺れるスカートの裾と水色のパンツ!?
「水…色…」
と、思わず口走ってしまった。
わなわなと震えるスカートの裾。
全く状況が飲み込めていないがコレだけは分かる。
決して美味しいシチュエーションでは無い。
「変態!!」
と、言う声と共に俺の腹部を衝撃が突き抜けた。
「◇×◎▲☆」
痛みに耐えかねて転げまわる。
どうやら、完全に誤解されてしまっているようだ。
「違うんだ!ちょっと待ってくれ!!話せば分かる」
と、どう聞いても説得力の無い言葉を必死になって口走る。
「問答無用!!」
腰を落とし右手を引いて左手を突き出す女。
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
呼吸と共に右手の拳がオレンジ色に光りだす。続きを読む
posted by Takeshi at 21:00| Comment(6) | TrackBack(0) | SPARK!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする